【獣医師監修】犬のクッシング症候群の症状や検査、治療について

この記事では、犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)について解説しています。

犬のクッシング症候群とは

犬のクッシング症候群とは、なんらかの原因が引き金となって、腎臓の上にある「副腎」とよばれる器官から「副腎皮質ホルモン(コルチゾル)」が過剰に分泌されることで引き起こされる病気です。

8歳以降の中年齢・高齢犬で多くみられ、プードル、ダックスフント、 ボクサー、 ボストンテリア、 ポメラニアンなどの小型・中型犬種で多く見られます。

クッシング症候群の症状について

クッシング症候群の犬で多く見られる主な症状に、多飲・多尿、腹部膨満、パンティング両側対称性の脱毛があります。

そのほかにも、多食、毛艶の悪化、筋肉の萎縮、などがみられる場合も多々あります。

また、副腎皮質機能亢進症はインスリン抵抗性の原因になる場合もあるため、糖尿病を引き起こすことがあります。

*クッシング症候群の犬。脱毛、腹部膨満などの特徴的な症状が見られる

クッシング症候群の原因

ほとんどの原因が下垂体の腫瘍化によるもの

副腎をコントロールしているのは、脳内の「下垂体」という部位です。

この下垂体が腫瘍化すると、副腎をコントロールする「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)」が過剰に分泌されるため、副腎から副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されます。こうして、クッシング症候群を発症します。

下垂体の腫瘍化が原因となる当症の発症率は、全体の8割〜9割程度と考えられています。

まれに副腎の腫瘍化が原因となることも

まれに、副腎が腫瘍化するパターンもあります。その結果、副腎皮質ホルモンが過剰分泌され、クッシング症候群が発症します。

副腎の腫瘍化が原因となる当症の発症率は、全体の1割程度と言われています。

医原性もありえる

腫瘍、アレルギー、自己免疫疾患、炎症などの治療に、副腎皮質ホルモンと同じ働きを持ったステロイド(グルココルチコイド)が用いられることがありますが、この薬の長期的な投与の結果、クッシング症候群と同じ症状が現れることがあります。

これを、医原性クッシング症候群と言います。

クッシング症候群の検査と診断

・血液検査

副腎皮質機能亢進症の場合、血液検査で、アルカリホスファターゼ(ALP)活性の上昇、コレステロール値の上昇、ALTと血糖値の軽度な上昇が見られます。

・尿検査

多飲に伴う尿比重の低下(1.020以下)、タンパク尿、また副腎皮質ホルモンの過剰分泌による免疫力の低下から、尿路感染症が併発している場合も多々あります。

・画像検査

副腎皮質機能亢進症では、特徴的なX線検査所見がみられます。

肝腫大、多尿による二次的な膀胱拡張や、気管・気管支や皮膚、腹部の血管における異栄養性石灰化です。副腎付近に軟部組織腫瘤や石灰化が認められることもあり、その場合は、副腎の腫瘍化を示唆しています。

腹部エコー検査も、本症では有用です。

副腎の大きさと形状を確認できますし、同時に、膀胱結石や腫瘍による血栓なども見つけることが可能です。副腎皮質機能亢進症の症状を呈している犬の副腎が、両側とも正常な大きさであった場合や、両側対称性に腫大(最大径0.8cm以上)していたら、下垂体性の副腎皮質機能亢進症と考えられます。

クッシング症候群の治療

投薬による治療が一般的

ミトタン

ミトタンは、下垂体性の副腎皮質機能亢進症の治療薬に一般的に用いられています。ミトタンは「副腎皮質を溶解すること」で、副腎皮質ホルモンの過剰分泌を防ぎます。

副腎腫瘍に対しては、副腎摘出の代替治療として使われます。

トリロスタン

トリロスタンは、副腎における「副腎皮質ホルモンの生成を阻害すること」によって作用を発現します。

トリロスタンは、副腎皮質機能亢進症に対して非常に有効な薬剤で、下垂体性副腎皮質機能亢進症の第一選択薬として使うことも多く、ミトタンが効かなかったり、ミトタンに耐性が生じた場合の代替薬としても使われます

ケトコナゾール

ケトコナゾールは、可逆的に副腎のコルチゾル生成を阻害します。

副作用の現れる頻度は高く、それは副腎皮質機能低下症によるもので、元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢などが認められます。副作用の頻度が高いことがケトコナゾールによる治療のデメリットですが、治療の費用はミトタンやトリロスタンより安くなります。

肝臓疾患を持っている犬の場合、ケトコナゾールの副作用が強く出ることがあります。

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