犬の目の白い部分が黒い場合に考えられる原因は、主に二つあります。
一つは「黒い色素の沈着」、もう一つは「悪性黒色腫(メラノーマ)」です。
犬の目の色素沈着(色素性角膜炎)
*角膜に色素沈着が起きているパグ
犬の目の色素沈着は、主にパグなどの短頭種で見られます。
短頭種犬は鼻が短い(ぺちゃんこ)せいで、眼球が外側に押し出され露出部分が広がります(目が飛び出している)。また、パグなどは鼻周囲の皮膚に皺がよりやすく、そのせいもあって目の周囲の毛が眼球に常に当たってしまう子が多くいます。
毛が慢性的に目の角膜を刺激し続けることで、角膜を傷つけ、やがて角膜に黒い色素が沈着していきます。これを色素性角膜炎といいます。
色素沈着が重度の場合は、角膜を覆う黒い色素のせいで犬の視野が狭く(視力の低下)なります。このせいで、視力をほとんど無くしてしまう子もいます。
根本的な治療法は、手術によって瞼を小さくし、眼球に毛が当たらないようにする必要があります。また、海外では最近になって角膜を人工角膜へ置き換える手術方法も開発されたそうですが、現時点でその手術が行える日本の動物病院があるかは定かではありません。
またドライアイを併発している場合も多く、少しでも角膜への刺激を減らしていく目的で、人工涙液の点眼を行う場合もあります。ただし、これらの方法では沈着した色素を除去することは出来ません。
眼球内に生じた悪性黒色腫(メラノーマ)
*犬の左目にできた悪性黒色腫(メラノーマ)
犬の目が黒くなる原因の最も怖いものに、悪性黒色腫(メラノーマ)があります。メラノーマは目だけに出来るガンではなく、口腔内や皮膚などにも生じるガンです。
眼球内に生じたメラノーマの場合、目が黒くなるだけで無く、目が真っ赤に腫れ上がって飛び出したり、緑内障やぶどう膜炎、眼房出血などを併発する場合が多いです。
口腔内メラノーマは悪性度が高く、リンパ節や肺への転移可能性が高いですが、眼球内に生じたメラノーマは転移可能性が低いと言われています。
ですが、検査の結果、メラノーマの可能性が高い場合は全身への転移を出来る限り防ぐ為に眼球摘出手術を行う場合があります。